「経済学に何ができるか」(前半)
猪木武徳「経済学に何ができるかー文明社会の制度的枠組み」(中公新書)
結構前から読んでいるが、1章につきB5白紙一枚分のメモ取りながら今回は読んでます。なので、時間がかかってます…でも、これも読み方に関する試行錯誤のうちの1つなので最後までこの調子で頑張ります。
ちなみに、いざメモを取り始めると、自分の場合ついつい書き過ぎてしまいます。
あまり予備知識がない本を読んでいたので、本文の重要論点と自分にとっての新たな発見とがごちゃごちゃになってきて、これらを全部メモしてしまったのか。
とりあえず、第7章まで読んでだいたい半分読んだので書いてみます。
内容はさまざまな経済学が関わる問題について、経済学者の著書や論文を引用しつつ、著者がさまざまな話題について書いていくといった感じです。経済学部のくせにろくに経済学を勉強していなかった自分には少し背伸びな読書ですが、別に経済学の専門的知識を前提に書かれているってわけでもないです。目次を見るとわかりますが、近年問題に挙がるさまざまな論点に触れられています。
あと、著名な経済学の古典と言われるような著書を書いた人の考えと現在の諸問題とのつながりが見えて勉強になります。
以下印象に残った箇所を
・(3章)インフレーションのもたらす影響の一面について触れられています。自分はインフレのリスクについて、本文の記述から以下のように理解しました。
大量の紙幣を印刷し、巨額の財政支出を調達
一方で
国民の保有する通貨は減価(インフレによりお金の価値は下落)
→国民から政府への「富の強制移転」=重い税金と同じ効果
→増税より悲惨な事態の可能性(物価上昇をコントロールすることは可能?)
今、政府は物価を上げようと必死ですが、インフレに上のような一面があることは知っといた方がいいですよね。金融政策については自分なりに情報を集めてはいますが、正直難しくて、安倍さんを支持している人もたくさんいるけど、一方で懐疑的な人もたくさんいる。この是非については、なにか教科書的なもので勉強してみようと思ってます。
・(5章)ワーキングプアの問題を解決する上で重要な最低賃金法ですが、最低賃金を上げると若年層や不熟練労働者の失業率を上げる可能性があるという記述がありました。(労働力不足ならこの限りではないが)最近の日経新聞の経済教室にも同様なことが書いてありました。たしか経済教室では、アメリカだけでなく日本を対象に研究した場合も同様と書いてあったと記憶しています。感覚的に最低賃金は上げた方が良さそうと思ってしまうだけに、印象に残りました。
・(6章)「なぜ所得格差は問題なのかー人間の満足度の構造」と書かれた章ですが、今のところこの章に書かれていることが、最も印象に残りました。日本の社会のやる気をそぐ原因や、人々がどのように格差を感知するのかっていうことについて記述されています。この章読んで思ったこと、気が向けば違う記事で書いてみようかと思います。とりあえず、特にこの章は読んでみることをおすすめします。