「世紀の空売り」
今日読み終わったのはこの本。
- 作者: マイケルルイス,Michael Lewis,東江一紀
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2013/03/08
- メディア: 文庫
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リーマンショックに関する本。この本がおもしろいのは、金融危機において危機が起こる前に危機が起こることを予見していた人々のことが詳しく書かれている点です。このように大きな規模の金融危機も、突き詰めれば1人1人の個人の行動や判断の積み重ねで起きているわけであって、その一端を見ることができます。
この本を読んでいて最も違和感を覚えたのは、自らがリスクをとっている金融商品についての理解がない金融機関の人々や投資家の姿勢です。
例えば自分が自分のお金で投資するときに、その中身について理解がないものには投資しない。これが普通の感覚。
でも、本の中に出てくる人たちにはそういう感覚はない。金融商品の複雑さがそれを困難にしている。そこで理解の困難さを補完するための格付け機関が必要とされるわけだが、格付け機関も実はよくわかってない。より優秀な頭脳が集まる投資銀行にカモにされる始末。それでも、格付け機関の出す格付けを信用しきって、結局損する人々。
実に歪んだ世界ですね。
「行き過ぎた資本主義が招いた危機」だとか「強欲な金融業界が…」とかみたいなことを聞いていて、「本当にその通りだ」と自分は思っていました。だから、「金融業界はけしからん」とも思ってました。
たしかに、そういう面もあるとは思います。この本の中だと、投資銀行がサブプライムローンの行く末に気づいてからCDSを売りまくって儲けようとしてるところとかたしかにって感じです。でも逆に、歪んでいるところがあって、そこを利用して儲けようとする姿勢って健全な感覚なんじゃないでしょうか。
ただそれよりも、自分がよくわかってないものに投資するっていう姿勢が最もおかしい。「よくわかってないなら、そもそも手を出さなきゃいいのに」って自分は思います。あとは、普通の感覚を麻痺させるような組織のあり方なんかにも問題があったのかなとは思います。
「自分が知ることの重要性」「2次的な情報の危うさ」なんかを感じる本でした。